始まりは+82から始まる電話
空港に向かう地下鉄で携帯に着信。地下鉄車内だったので取らずに切った。すると間を置かずに再びかかってきたので再度切った。番号を見ると、+82から始まる番号。韓国から?ますます怪しいので無視して地下鉄を降り、保安検査を終えてラウンジに入り携帯を見ると、気付かない間に再び着信と留守番電話が残っていた。今度の着信は03から始まる電話番号。留守電を聞くと、韓国釜山の領事館から、日本の外務省を経由してかけているという。残っている03の番号に折り返すと、確かに外務省の電話番号だった。
伝言は、カードを盗まれた僕の友人が助けを求めて領事館に駆けこんできた。解決に向けて手を貸して欲しい、領事館に電話が欲しいというもの。
カードを盗難に遭い領事館に駆け込んだ友人
最初に着信があった韓国からの番号に電話すると、待ってましたとばかりにすぐに繋がった。電話を取ったのは、釜山領事館のAさん。
カード類を盗まれた友人がホテルの精算ができず、帰国する飛行機のチケットも買えないので領事館にお金を貸して欲しいと相談に来たと。しかし、領事館ではお金は貸せないので、誰か日本から立て替えて送金してくれる人はいないかという話に。
最初に連絡を取った別の友人はネットバンキングなどやってないのでわからないしすぐに対応できないが、「僕」なら対応できるんじゃないかと名前を出したらしい。そこで領事館から電話がかかってきたということなのだが、要はホテル代と帰国に必要なチケット代合わせて8万円ほどを送金して欲しいと。先ずこちらから領事館のウェブサイトにある問い合わせメールアドレス宛にメールを送り、返信する形で送金方法などは知らせますと。
信用して良いのか?新手の特殊詐欺では?
これは新手の特殊詐欺か?電話口で話した友人の声は確かに彼だったが、今時は生成AIでなりすましも簡単だ。A氏に、「こういう時代なので詐欺の可能性もありますよね?」と水を向けると、「確かに心配でしょう。外務省に電話して確認してもらって大丈夫です」と。
一旦電話を切り、Googleで釜山領事館を検索し、間違いなく正式な領事館であることを確認して問い合わせアドレス宛にメールを送る。併行して外務省のサイトを検索し代表番号に電話をかけ、今起きていることを伝えて担当部署に繋いでもらい、A氏が確かに釜山領事館の職員であることを確認。A氏の上司からは「ご協力に感謝します」とのお言葉。少なくとも領事館のA氏は問題ない。
一方、大きな問題も。そもそも僕は飛行機に乗る待ち時間にラウンジにいる。もうじき出発時刻で飛行機に乗らなければならないのだ。もう時間が無い!
ギリギリ送金、そして彼も無事帰国
返信で戻ったメールには丁寧な文章で送金方法や友人の今の状況などが記されていた。そのメールを確認しているところに何という幸運?いつもの機材到着遅れで出発が遅れるとの通知。
PCを(ラウンジの公開Wifiではなく)スマホのテザリングでネットに繋ぎ、ネットバンキングで送金。ギリギリ間に合った。送金したことを電話で伝え、領事館のA氏からも着金確認のメールが届いたのを見届けて搭乗口に足早に向かった。送金した8万円は、今日のレートでウォンに替えて彼に渡し、領事官の車でホテルまで送りますということ。在外公館の職員さんって、邦人の安全のためにそこまでやってるんですねえ。頭が下がります。彼の無事の帰国を祈りながら福岡空港を飛び立った。
翌朝、彼から無事帰国の連絡が。そして、領事館のA氏からもメールが届いたので、彼が無事帰国できたことを返信で伝えた。
お金は振り込んでもらえば良いが、来週にでも会って昼飲みしながら韓国旅行の顛末を聞くことにしよう。