人は見たい物だけしか見なくなり、その先にはマイルドな洗脳も
永江君が、いまの大学生はどんどんレイトマジョリティになっているという話というエントリーを上げていた。更に、オオカミとヒツジの話にキャズムを振りかけて召し上がれとも。
今年の僕の授業でも学生に新聞を取っているか読んでいるかを尋ねた。新聞を取っていたのはわずかに2人で、一人は社会人学生で、もう一人は実家から通う学生だった。
それなら、日々のニュースや話題はなにから得ているのかと尋ねると、特に明確に上がってくる物は無かった。テレビでも無く、インターネットのニュースサイトからでもない。Gunosyなどのキュレーションサイトやアプリを利用している風でも無い。主にFacebookやTwitter、あるいはLINE上での仲間内のコミュニケーションから得られる情報がほとんどのようだった。
授業の中で、固定費の大きな部分を占める人件費の話しから、学生達に経営者の立場になってどんな学生を採用したいかをグループで討議してもらった。彼らはジェンダーフリーやダイバーシティなどという感覚も知識も無く、多くは昭和の旧来の企業経営者が求めるような体育会系学生の姿を想像しながら話が進んでいる。学生の半分は女性だというのに。そこにいるのは、永江君の指摘する「ひつじ君」達の姿と重なる。もちろん、車も社会人学生の彼以外は持っていない。
この討議内容については発表はさせず、今、遅ればせながらも日本が向かおうとしている働き方についての話をした。そして、職業観や仕事、就職活動についてなどに話しが及び、今の大量エントリーを前提とした就職活動の不条理と自己矛盾(RのOBとしても)に対して思わず熱く語ったのであった。
(優秀な彼らは、ひょっとしたらヒツジの皮を被ったオオカミで、僕の話を冷静に、白けた気持ちで聞いていたのかもしれないが)
話しを元に戻すと、ニュースキュレーションサイトやアプリであろうとFacebookであろうと、LINEのタイムラインであろうと、いずれ見たい物しか流れてこなくなる。キュレーションサイトは、どんなニュースをよく見るか分析しながら、最適化した(良くクリックして読まれるであろう)記事を配信する。開かない(クリックされない)分野や話題の記事はいずれ配信されなくなり、見たい物だけが配信されてくるようになる。Facebookも同様で、タイムラインに流れてくる友人の記事も、いいね!やコメント、シェアが多い友人の記事は頻繁に表示され、そうでない友人のエントリーは表示されなくなる。まさに仲良しか、エントリーする話題のテーマや考えが同じような友人ばかりが表示されるようになる。いいね!したFacebookページも同様だ。
本来なら、知りたい情報(良い情報も悪い情報も幅広く)を集めるべき(授業ではMECEの話しもした)だが、人は見たい物しか見ないというように、いずれ見たくない情報からは目を背ける(反応しない)ようになる。配信されても読まなくなり、それは不要な記事だとコンピュータに判断されていずれ配信されなくなるのだ。
片寄った情報だけに目を向け、いずれはひどく狭い世界と価値観の情報しか流れてこなくなってしまう。まるで、大本営発表を信じさせた大戦中の日本人のようでもある。自分で自分を洗脳しているようなものだ。情報収集のためのデバイスがスマホに集約されると、この傾向はますます強くなるんだろうな。
究極的には、キュレーションサイトやアプリをコントロールしたら、今の若者の一部に対しては,マイルドな洗脳も可能かもしれない。こんなことで、日本の未来は明るいの?
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