小雪さんが韓国で出産。日本の周産期医療体制と産後院について考えた。
女優の小雪さんが、1月10日に第2子を出産した。
それだけなら有名女優が子どもを産んだというおめでたい話。しかし、出産したのが韓国ソウルの「産後調理院」だということで、スポーツ・芸能誌やテレビ、ネットでも話題になっている。その多くは、聞き慣れない産後調理院についてのことであるが、ここでそんなことを今更取り上げてもしかたない。
産後院・産後調理院については、リンク先を見てもらうとして、気になったのはわざわざ国外での出産を選んだと言うことだ。
確かに有名人であり、国内ではどこに行っても誰かに見られているだろうし、出産前後も落ち着かないかもしれない。普通はかかりつけ医は変えないだろうし、余程のことがなければ、一人目と二人目で別な産院で産むことはないだろう。今回は第二子ということだし、ひょっとすると第一子出産の時に心地よくない思いをしたのかもしれない。それを理由に国内の他の産院にするのも角が立つし、だから海外での出産を選んだとは言えない(心遣い)ので、自らも取材して気になっていた産後調理院で出産することにした、と言っているのかもしれない。
これは深読みのしすぎかもしれないが、現実には日本の周産期医療体制は大変厳しい状況。日本産科婦人科学会の会員数は合計:15,787名(平成23年3月31日現在)。会員の中には、現役を退いたり現場に出ていない先生も含まれる。最新のデータが無いので平成18年の調査データで見ると、現場の医師一人あたりの取り扱い出生数は全国平均で139人。しかし地域差が大きく、埼玉県では全国平均の約2倍(268人)もの出生を受け持つという過酷な状況。神奈川、千葉も厳しい。東京都は全国平均を下回ってはいるが、mikuの配本協力医院の状況をみると、個人医院は次々と閉院したり大きな病院でも分娩できなくなったりしているので、好転はしていないだろう。2006年に起きた妊婦のたらい回し死亡事件後、過激な労働条件と医療事故・過誤による訴訟で、産科に進む医師の数は極端に減少しているという。その後、産科医療保障制度も創設されているが、保険料も高い等でどれだけ浸透しているかは疑問。むしろ、一人の分娩に対して3万円もの保険料が負担になることはマイナスにしか働いていないのではないか。産科医の数にしても、平成18年3月31日現在の会員数は15,438名だったので、5年で250名ほど増えただけ。平成18年当時とあまり状況は変わっていないだろうし、都市部ではむしろ悪化していることも考えられる。
当然、産院の入院期間も必要最小限で、次々と退院させられることになる。分娩後は体を休めて、心身ともに十分なケアをしながら退院としたいのだろうが、現実にはそうはならない。
今回、はからずも小雪さんのソウルでの出産によって産後院の存在が注目を集めることになった。これから日本でもニーズが高まることは想像に難くない。しかし、現実には分娩してそのまま産後ケアを受けられる長期入院(滞在)が可能な産院の登場は多くは望めないだろう。むしろ最悪のケースは、現在の産院が分娩取り扱いをやめ、産後院に変わってしまうこと。そのような事にならないように祈るばかりだ。
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