時の流れは饒舌と寡黙の狭間で
2012年がもうすぐ終わる。
時の流れは、ある人は過ぎ去るだけのものと言い、またある人にとっては積み重なるものという。
それはまるで、twitterとFacebookのようでもある。
twitterはまさにtweet(つぶやき)であり、発信、あるいは感情の放出とも言える。特定の誰にではなく、不特定の誰かにであり誰にでもない。商用のアカウントや営業目的の発信を除けば、何かの反応を期待してのことではなく、twitterを通しての繋がりはゆるい。tweetが有益な情報や他人からも興味をもたれる内容であれば、リツイート(RT)され、拡散される。しかし、それはもう最初の発信者にとっては過去のこととなっている。
一方、Facebook では投稿され蓄積されていく書き込みや写真といった個人の歴史がアーカイブされ続ける。Facebook の繋がりは友人(お互いが繋がることを許可し合った者)のみ。友人同士は常に繋がり、モニターし合っているような関係とも言える。友人であれば公開されている内容をいつでも閲覧することができ、ウォールの書き込みを過去に遡って読むこともできる。ブログは誰でも読めるのに対し、Facebook は許可された者のみ(設定にもよるが)しか見ることができないので、WEB上で交換日記を付けているようなものともいえる。
読める人が限られているとはいえ、平均して100名前後といわれている友人の数。しかも書き込み(公開設定)がシェアされればさらに多くの人の目にも触れることになる。勢い、無意識のうちに友人の目や関係性を意識し、「良い子」や「好感度」を演出するような書き込みを選択する。例えば誕生日。自分の誕生日に多くのお祝いのメッセージを受け取り、感激する。そして友人の誕生日にも同じようにメッセージを贈るようになる。
twitter も Facebook も、使っているうちにツールとしての特性やメリット・デメリットを学習する。今年は多くの人がFacebookを試行錯誤しながら学習した年だったのではないだろうか。例えば誕生日のお祝いメッセージも、友人が増えるにつれ苦痛ともなりかねない。100人の友人なら、およそ4日に一人、400人になればほぼ毎日誰かの誕生日となるから。そして、その特性を理解し活用できると確信した者はNET上では饒舌となり、その世界に馴染めなかった者は寡黙となってしまう。それは、リアルとはまた別の世界の人格を持つ場合もある。
昭和の頃までの日本では、男も女も寡黙であることを是とした。
「沈黙は金」「男は黙って……」であった。寡黙であることが、日本人の謙虚さにも繋がっているのだろう。
一方、饒舌は下品であり、自分の事を飾って語ることは卑しく人をだます行為にも近い受け止め方をされていた。おしゃべりはどちらかというと信用されない傾向にあった。
しかし、平成の世は日本も日本の企業も、そして日本人もグローバルな価値基準で行動し、発信しなければならない時代になってしまった。コミュニケーションやプレゼンテーション能力が問われる世界においては、寡黙であることは不利にしかならない。「わかる人にはわかる」では通用しなくなったのだ。
21世紀は、ありとあらゆる情報がNET上にアーカイブされるようになった。インターネットがインフラとなり、誰でもNETから情報を収集することができるようになった。平成生まれの若者にとっては、NET上に無い情報は存在していないに等しい。かつての日本人が持ち合わせていた寡黙に多くを語らないという「美学」も、NETの世界では何のプラスにも働かず、存在していないことに等しい。
だからといって、饒舌であることが必ずしも価値を持つわけではない。内容が重要であるし、嘘やまやかしがあってはならない。twitter は単なるつぶやき、Facebook は友人間の他愛もないおしゃべりという感覚で、多少の嘘(虚栄や誇張)も許されるくらいの書き込みもあろう。そこにビジネスを期待していれば、嘘や誇張はさらに上塗りされていてもおかしくはない。
嘘に限って、時が経ち過ぎ去っても、積み重なって残ってしまうものなのに。
過去を振り返らず、懸命に前を向いて進む生き方もあれば、未来のために努力を重ね研鑽に励む生き方もある。
現実には、未来は明るいと信じて日々を精一杯に生きてはいるものの、明確な目的や目標をもって生きている人はほんの一握りにすぎない。いや、目標は比較的容易に設定できる(本人の意思とは限らず他人から設定される場合もある)が、人生の目的を定めることは難しい。だから、時は積み重なると言える境地に達するのも難しい。
この一年を振り返りながら、来年良い月日を重ねるべく穏やかに新年(信念)を迎えよう。
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コメント
新年明けましておめでとうございます。
フェースブック去年からよくわからないまま始めてます。
今年も古湯で会えるのを楽しみにしてます、よろしくお願いします。
投稿: 山おやじ | 2013.01.03 11:42
山おやじさん、明けましたおめでとうございます。
今年も最初は古湯からですね。
よろしくお願いいたします。
投稿: flyday | 2013.01.03 15:25