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2012.10.15

北朝鮮拉致被害者5人が帰国して10年-南北朝鮮のTopが変わる今年だから考える未来

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国、以下北朝鮮)に拉致された被害者を、小泉総理が連れ帰って今日で10年。もう10年も経ってしまったのかという想いを持つ人は多いだろう。
しかし、今日の報道では、iPS細胞の森口氏の臨床疑惑や兵庫の不可解な行方不明・遺体発見に関する事件、パソコンの遠隔操作で犯罪を起こしたという犯行声明、日本維新の会の動きなどに隠れて、北朝鮮拉致被害者帰国10周年に関する話題はすっかり霞んでしまった。
そんな中、数少ない拉致被害者に関する報道に触れながら、頭の中をぐるぐるといろんな事が駆けめぐった。

そもそも、朝鮮が南北に分断されたのは第2次世界大戦後、冷戦下の東西対立が生み出した朝鮮戦争が発端。
同じように冷戦下でドイツは東西に、ベトナムも南北に分断された。カンボジアもその影響で内戦状態となりクメール・ルージュの大虐殺からポル・ポト政権へ、その後のベトナムとの対立など南北冷戦は世界中に様々な影を落とした。
しかし、ベトナムは終戦後南ベトナムが消滅し南北ベトナム統一、ドイツも1990年にベルリンの壁が崩れて統一ドイツが誕生。カンボジアもベトナム軍撤退後は民主化してシアヌーク国王のもと、政治の安定を取り戻すと国内は安定し、永世中立を宣言した。
こうやってみると、同じ民族国家が東西冷戦などの外圧で分断されても、いずれは再統一するのが歴史の必然と思える。
じゃあ、分断国家の南北朝鮮も、いずれは再統一へ進むというのが歴史の必然と考えるのが自然ではないだろうか。金正恩第一書記はスイスに留学して世界に接していたし、グローバルな視点で今の北朝鮮を見ることはできているはずだ。冷静に自国民の幸福を考えれば、一つの選択肢は南北朝鮮の統一だろう。
軍部の反発はあるだろうし一筋縄ではいかないだろう。それよりもベルリンの壁の崩壊のように、あるいはアラブの春の様に国民や軍人が雪崩を打ったように民主化・反体制に動く事さえ考えられる現状では、早く自分の逃げ場所を確保して、南北統一を成し遂げた偉人という立場を確保する方が得策だと考えても不思議ではない。

もし金正恩第一書記がそのような提案を大韓民国(以下韓国)政府に密かに持ちかけたら?
国際大儀でいえば否定する理由はない。拒否する理由があるとすれば、経済問題。今、韓国経済は絶好調。ドイツ統一の際には所得格差や産業技術水準の格差で一時的に混乱が起こったが、克服できた。朝鮮の場合はその格差は一層大きく、混乱はドイツの比ではないだろう。それでも、冷静に考えれば戦争をするよりもはるかに損失は小さいはずだ。個別の企業は別な思惑が渦巻き抵抗も有るに違いないが。
拒否すれば核ミサイルだって打ちかねない国である。そんな事を持ちかけるときには、核をちらつかせるくらい当たり前。その時にはもう拒否はできないだろう。
もう一つの心配は、中国とアメリカとの関係。大韓民国は、大戦後の歴史的背景からも親米ではあるが、こと竹島をめぐる領土問題では中国にすり寄っている感じがある。領土問題では、(竹島と尖閣の共通の)敵の敵は味方という事だろうが、そうすると今度は米中の間でコウモリのような存在になってしまいかねない。そのような状況で南北朝鮮統一等というような話が進んだとしたら、統一朝鮮は国際社会の中でどちらに近い立ち位置を表明するのか?次の韓国大統領はある程度想定しないわけにはいかない近未来ではなかろうか。

さて、翻ってもし南北朝鮮が統一するとなったら、その時日本はどう振る舞うのだろうか?
これも想定外なんていうことはあり得ない想定できる近未来の一つの姿であるはずだ。

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